クテーヨコの因縁ど流れ星の因縁


クテーヨコの因縁ど流れ星の因縁
わたくしは、それまで、タテーヨコの因縁ということを説いてきた。
ひとの因縁は、タテの因縁とヨコの因縁から成っているという論である。
図にすると、次頁のようになる。
タテの因縁とヨコの因縁のあい交わるところが、。我れ”である。
タテの因縁は、先祖から受けついだ因縁である。
ヨコの因縁は前世から持ちこした因縁である。

 タテの因縁については、特に説明の必要はないであろう。人はだれでも、両
親を通じて先祖からの因縁を受けついでいる。部郷・体質・才能・性質等、み

な、両親から受けついでいる。だれも、異論はないであろう。
 では、ヨコの因縁はどうか。
 これには、異論をとなえる人がいるかも知れない。前生などないと考える人
たちである。
 では言おう。
 先祖から因縁を受けつぐといっても、どの先祖から、どんな因縁を受けつぐ
のか? 先祖といっても、無数にいる。直系だけでも、三代さかのげって十四
人、五代さかのぼれば六十人いる。
 漢学の大家、安岡正篤先生け、二十代さかのげると百万人を越え、三十代さ
かのげると、十億を越える、といっておられる。そうして、遺伝学では、五千
匹前のネズミの先祖の特質が、五千匹後の子孫に出ているといわれる。五千匹
前のネズミ、というと、人間でいうならば、約十代前の祖先の人、と考えてよ
いであろう。十代前の先祖の特質(因縁)が、十代あとの子孫に出るというの
である。
 ところで、十代前の先祖の因縁を受けつぐというが、十代前の先祖の、どの
先祖の因縁を受けつぐのか? ということである。十代前には何千人という先
祖がいるわけだ。何千人いる先祖の、どの先祖の因縁を受けつぐのか、という
問題である。
 かずある先祖の中には、徳の高いすぐれた人もいるであろうし、人殺しをし
た大悪人もいるであろう。浮浪者もいるであろうし、大宣象もいるであろう。
それらの先祖の、どの先祖の因縁を受けつぐのか?
 先祖がおなじだからといって、兄弟がみんなおなじ因縁を受けつぐわけでは
ない。おなじ両親から生まれた兄弟でも、みんなちがう因縁を持っている。そ
の因縁のちがいは、どこから来るのか?

たとえば、ここに五人の兄妹がいる。
 長男A 貧しい家からスタートして、刻苦精励、一代で巨財を築き、社会
     事業にも努めて、多くの人に尊敬されつつ、長命の一生を送る。
 次男B 特に良くもなく、悪くもない平凡な人生を送り、さいごはガンで
     亡くなる。
 長女C 結婚運がわるく、つよい夫婦縁障害の因縁のため、初婚破れ、再
     婚も不幸で、子縁も薄い。
 三男D 横変死の因縁を持ち、若くして、人と争い、殺される。
 次女E 良縁に恵まれ、・子運もよく、幸福な一生を送り、脳卒中で亡くなる。
と、まあ、仮にこういう兄妹がいるとして、(実際にいる)
三男のDにしてみれば、「なんでおれだけ横変死なんだ!」とどなりたいと
ころであろう。
 長女のCにしても、「なんて私か、つよい夫婦縁障害の因縁なのよ!」と、
口をとがらせたいところであろう。
 おなじ両親のもとに生まれ、おなじ先祖を持ちながら、どうして、こう違う
のか? それを解くカギは、ヨコの因縁である。
 長男は、前生において、徳あるよき人生を送った。財を施し、多くの人びと
から尊敬をうけた。それが、数代前の、おなじような徳ある先祖とむすばれる
「縁」となったのである。
 三男Dは、前生において、粗暴な振舞いが多かった。人を殺し、人に迷惑を
かけるさまざまな悪事をはたらいた。それが、数代前の、おなじ因縁の先祖と
むすばれる「縁」となった。この先祖も、人を殺して死刑となった横変死の因
縁の持ち主だったのである。


 次男も、長女も、みな、おなじことである。
 おなじ両親のもとに生まれた兄妹でも、前生はみなちがう人生を送ってきて
いる。したがって、現生もそれに応じて、ちがう因縁の人生を送るのである。
まさに、タテーヨコの因縁の理論通りなのだ。
 ところが、
 冥徳霊視の結果、タテの因縁に、突如、ナナメの因縁がとびこんでくること
がわかったのである。突然、思いもかけぬところから飛びこんでくる。だから
わたくしは、これを「流れ星」の因縁ともよんでいるのである。
 つまり、先祖ではないアカの他人の転生者、再生者が、タテの因縁の中に入
ってくるのだ。さながら流星のごとくとびこんでくる。しかもその流れ星が、
ほかならぬ自分の場合もあるのである。
 これは、わたくしにとって、たいへんなショックであった。
ナナメの因縁
T家の例
曾祖父
(事業斤き敗し
財産蕩尽じて
自殺)
T氏
T家
 しかし、考えてみると、これをつかんだことで、阿合宗の因縁解脱の法は、
完全なものになったのである。
 これまでにのべてきた通り、人間の因縁形成の上で、転生・再生は、非常に
大きな影響をあたえる。いや、大きな影響どころか、それが根本原因をなして
いるといっても過言ではない。これを見落としていたら、因縁解脱はぜったい
に出来ない。

 わたくしは、因縁解脱の法を求めて、仏門に入った。そして五十有余年、必
死にそれを追求してきた。いま、ようやく、ここにそれが完成したのである。
 ふり返ってみれば、仏陀釈尊は阿含経で、何度も、輪廻転生を説いておられ
る。それを何百回も拝読し、人にも講義してきながら、その真実の意味をさと
ることが出来なかったのである。
 仏陀釈尊は、ただ輪廻転生があるということをお説きになったのではなく、
それが因縁解脱・成仏に深い関わりがあるということをお教えになっておられ
たのである。わたくしは、いま、ようやくそれをさとったのだ。